2月は集中的に読み聞かせボランティアスケジュールが入りました
小学校では
1月から3月まで、学校生活はとても密になってしまうので、そのような状況に合わせて更に高度な内容の絵本を選んでいきました。
特に、6年生、最後の読み聞かせとなりまして、使用した本は『名人伝』(中島敦・著)です。
この冬はほぼ、ご一緒に活動している先輩が選書しました。
どうして六年生にこの本なのか、は、私には分からなかったです。ですがこれから中学、更に高校へと進むかもしれない小学生(高校進学は、自由ですからね)にとって、ちょっとしたプレゼント的な意味合いを持っています。現在の議論では、どうなっているのか知る由もありませんが、国語・現代文の教科の教科書から、所謂明治~昭和時代の文豪作品が消える、とのことで…これも時代のながれなのでしょうか。論文やビジネス文書のような叙情性に溢れる作品の割合が減っていってしまうらしいのです。
なので、この選書は良かったな、と思っています。
小林豊先生によって、ちゃんと子供向けに文章が洗練されています。し、使われている絵も、真剣味を感じられる、大人が見ても「いいな」と思わせてくれるものです。
私が、名人伝から考えたこと
単純に、絵本を、物語をみんなで味わう。それに特化するようにつとめました。
いつも読み聞かせた最後にひとこと感想を書いてもらうのですが、今回はその感想を彼らの思うように考えてもらえるようにしました。この『名人伝』には主に3名の主人公が登場しますね。紀昌・飛衛・甘蠅老師のキャラクターを思う存分想像してもらいました。色々な言葉が出てきましたよ。
紀昌→頑固、野心がある、背が低い、チャレンジ精神旺盛、いつも青い服しか着ない
飛衛→弟子思い、お金持ち、50代か60代、怖そう、熱心
甘蠅老師→不死身、熱心、本当は仙人、ギックリ腰になっていそう
などなど。
そうだよ、そう。読書とか絵本ってそうやって映像を頭の中で動かして楽しむものだよ!さすが6年生だねって、嬉しくなりました。
名作とはいえ、まずは読書を嫌いにならないで欲しいなと思っています。別に読書なんかしなくても生きていける便利で平和な日本です。でも、でもね、いつだったか私はこんな話しを耳にしたことがあります。
ーアメリカ・ウォール街のトップビジネスマンは、子供の頃、シェークスピアやヘルマンヘッセ、ドストエフスキーまで、世界中でよく知られている小説家の作品は、ほぼ全部、読んで育っていて「ああ、そういう感覚って、後にヴェニスの商人の裁判みたいな事態を招いちまうぜ」みたなたとえが、さらっと普通に、出てくる。それが分からないと、とても辛い立場になり、仕事がうまく回らなくなる…つまり仕事にとって教養は、とても大事だってことだ。
これから教養を沢山身につけて行くであろう6年生の、ちょっとしたおせっかいをしました。各学年、そんなふうな選書をしました。教養は楽しくなきゃ身につかないしね。そして、そういうことをしっかりと分かっている大人たちに囲まれながら、これからも育っていって欲しいと願っています。
絵本に教育を求めてはいけません、けれど小学生時代に読書の技術をつけさせるためには、そういったことも必要なんじゃないかなと思っています。
みなさんは、どうですか?
また読み聞かせをされていらっしゃる方々、どのような選書基準をお持ちでしょうか。
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